改正民法に関する書籍も増えてきましたが、
2020年4月に施行されるため2019年中には対応をある程度完了させておく必要があります。経過措置があるので焦る必要はないのですが、全体の方針を今年中には立てておきたいところです。
※定型約款は、施行日以前のものであっても施行日以降には改正法の規制を受けることには注意が必要。
以前に拝読した民法改正対応 取引基本契約書作成・見直しハンドブックに引き続き、民法改正対応の契約書作成のポイントについて勉強することにしました。
【書評】
本書も他の民法改正に関する契約書作成の書籍と同様に
- 契約類型ごとに解説する。具体的には売買契約・賃貸借契約・金銭消費貸借契約・委任契約・保証契約を取り上げている
- 契約類型ごとに大きく影響のある改正法の説明(例えば売買契約では契約不適合責任、委任契約では成果型とそれ以外の区分など)
- ひな形を掲載し影響のあるポイントのみを解説(詳細なひな形が添付されています)
の流れになっています。
これまでも民法改正については他の書籍を拝見してきました。
その中で特徴的なところとすると
- 現行法とは異なり、表明保証条項について違反した場合に契約不適合責任の内容となる可能性が生じる。そのため、契約不適合責任とは異なる効果を発生させるのであれば表明保証条項に違反した場合の効果について明記しておく。(表明保証違反の効果については記載されていない契約書も一定数あります)
- 委任(準委任)について履行割合型と成果報酬型に区分して、それぞれの中途解除の場合の取扱いについて明記されている。特に履行割合型については、法改正により履行割合に応じる報酬発生が明記されたことから、業務委託契約においても中途解除の場合の報酬に関する取扱いを明記する必要性も高くなります。
- 保証において、根保証について個人を根保証人とする場合には上限額を明記する必要があるが、賃貸借契約・リース契約など影響範囲が広いので注意が必要(経営者保証でも必要)。また、事業性の根保証においては、主債務者の情報提供義務があるため経営者であってもこちらに対する対応は必要
になります。
委任契約と保証契約については、法改正の影響も一定ある中で、他の書籍では条項レベルであまり議論がなされていない印象を受けるので大変参考になります。
民法改正については書籍が多いですが玉石混交という印象があるので、複数の書籍を読み比べて理解を深めていくしかないですね。