久しぶりに週末をゆっくりと過ごすごとができました。
スタバで優雅にとはいかず騒がしいマックでコーヒーとともにビジネス法務2018年7月号を拝見しました。
今月号の特集は
- 民法改正で新設「定型約款」企業対応の要点
- 一人法務へのチャレンジ
の2本立てになりました。
1.民法改正で新設「定型約款」企業対応の要点
民法改正において「定型約款」という概念が新設されます。
定型約款は「定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう」(改正民法548条の2第1項)とされていますが、実際にどこまでが定型約款に含まれるのかどうか迷っている人が多いはず。
定型約款に該当すれば、組入要件・約款の開示を行うことで契約の内容に含まれることになります。
特に個人向けのサービス・商品を取扱っている場合には消費者からの知らなかった(特集でYahoo!の取組を取り上げていますが一定数このような問い合わせがあるようです)という問合せ・クレームについてはこれまで明確な先例がなかったことから、法改正により解決がなされることになります。
他方で、事業者間取引にも定型約款の法理は適用されることになります。
事業者向けの定型サービスも約款に基づいて取引を行っている場合が一定数存在しますが、こちらについては従前から①申込書など約款に同意する旨の記載の書面を作成する②約款を開示する、ということが多くの場合行われているので規定が新設されたことによる影響は少ないものと考えられます。
ただ、約款の改訂については定型約款に該当する場合には、不利益変更の場合には規制の影響を受けるので事業者間取引ではこの部分の影響が大きいかもしれません。
なお、定型約款については経過措置として、施行日以前の定型約款を用いた契約についても異議がない限り新法が適用されますので注意が必要です。
2.一人法務へのチャレンジ
最近は法務・コンプライアンスへの意識の高まりから法務担当者を置く会社が増えています。私も一人法務の経験者として感想を述べておきます。
- 特集の中でデメリットとして①業務品質が低下しがち②成長を持続させることが難しいこと、を掲げていますが複数担当者がいたとしても①②が改善されるとは限らない。シニアの経験者(大企業の法務部門などで10年以上?)の方がいない限り結果として業務品質については担保できないし、マンネリ化することが多いように思います。
- 効率化のためのアウトソースとは言われるものの、一人法務の場合にはそもそも法務に予算がない又は対象となる業務量が社内で認知されていない段階なので外部への依頼は最小限のコストで効果を得られるような内容に限定せざる得ないことが多い。自らの業務の効率化というよりも法務のコストの必要性を認めさせることが最大のミッションではないでしょうか。
- 一人法務の場合(複数担当者が存在する場合でもジュニア層の場合)には、担当者がどれだけ自己研鑽に注力できるかという「個人」の努力にかかっている
一人法務の場合には取扱う業務が広い(法務以外の業務も行う場合も多い)ので様々な経験をすることができます。他方で、一定の規模の法務部門は業務が細分化されていますが、決裁を含めて品質の担保がなされることから業務の延長線上で一定の最低限のスキルを身につけることができます。
どちらが良いかというよりもどちらが合うかということなので、自己研鑽を続けていくのであれば一人法務も面白いとは思います。