RKの備忘録

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【書庫】定型約款の実務Q&A(村松秀樹・松尾博典 商事法務)

インターネットのみならず、日常生活でも企業間取引でも「約款」「規約」に基づいて行われる取引は多いのですが、これまで法律上はどこにも規定がありませんでした。

「約款」「規約」のうち、民法改正によって定型取引について準備されたものに限って規定が設けられることになりましたが、意外とこの部分を取り上げた書籍がなかったところ本書が出版されましたので拝読しました。

定型約款の実務Q&A

定型約款の実務Q&A

 

 

【書評】

民法改正については様々な書籍が出版されていますが、瑕疵担保責任や解除、債権譲渡などといった債権総論についての議論が多く、改正法で初めて規定される定型約款について単独で取り上げた書籍はありませんでした。

本書はQ&A形式なので簡単に読むことが可能ですが、認識してなかったこととして

  • 代金を定めた条項や商品の品質・数量を定めた条項であっても定型約款に該当することがあり、民法の規定に基づき変更することが可能であること
  • 「別途定める●●に基づき」という場合には、当該引用先も適用対象となるという意味で定型約款となり●●の変更についても民法の規律の適用があること
  • 事業者間契約においては、当事者の一方が準備していたひな型通りに契約が締結されることが多くとも「双方にとって合理的なもの」とはいえず、原則として事業者間取引において用いられる契約書のひな型が定型約款に該当しないこと
  • BtoB取引においては、個人・事業者のいずれであっても同一のものが適用される場合やソフトウェアライセンスやクレジットカードなど取引の内容が画一化されているものについては「双方にとって合理的なもの」として定型約款になること
  • 約款を契約の内容とすることに合意する場合には、全文を表示するのではなく対象となる約款を特定できていればそれで充分であること
  • 請求に基づき相当な期間における開示の「相当な期間」は、契約終了後5年間など権利行使が可能な期間を経過するまでの期間をいうので意外と長いこと
  • 定型約款に関する規定は、強行規定であることから各規定の趣旨に反する合意(例えば契約後の請求による内容の開示を制限するなど)は無効になりうること

があげられるなど、定型約款については知っているようで知らないことがわかりました。

最近、企業向けのクラウドサービスが増えてきましたが、企業間取引ということから「約款」という名称であってもただちに定型約款にならないようにも思えます。

ただ、民法に概念があるので、これに準拠して実務が作られていくような感じを受けるので定型約款に該当するか否かにかかわらず、特定の事業者が不特定多数に適用される「約款」の場合には民法のルールに準拠しておいたほうが良いかもしれません。

定型約款の実務Q&A

定型約款の実務Q&A