最近は投資事業やガバナンス関連の仕事が多いため、事業関連の法律相談はあまり縁がないのですが、広く網羅的に最新の課題をアップデートできればと本書を拝読してみました。
【書評】
書名のとおりインターネットの法的論点についてQ&A形式で解説を行っています。
取扱い分野として
- 仮想通貨・ICOに関する法律論点
- FinTechに関する法律論点
- ライフログ・ビックデータに関する法律論点
- SNS利用と情報セキュリティに関する法的論点
- AIに関する法的論点
- 知的財産に関する法的論点
- アフェリエイト・リーチサイトに関する法的論点
- 子供とインターネットをめぐる法的論点
- インターネット広告と景品表示法に関する法的論点
- 「裁判手続きのIT化」対応に関する法的論点
と広いのですが、Q&Aを踏まえて課題を取り上げて方向性について概要を紹介するのみで残念ながら「実務対応」が分かるとは言えない記述になっています。
法令の紹介やガイドラインの要約などにとどまる部分も多く、既にインターネット界隈で仕事をしている人からすれば全体的に不満の残る内容になります。
ブロックチェーンやライフログなど新しい分野で起きている課題を法務担当者の目線で分解するという意味では全く意味がないとまでは言いません。特にブロックチェーンやその関連の解説は非常にわかりやすいです。
ただ弁護士が法的論点について解説する部分についてIT企業で既に実務経験2年以上あれば知っておくべき内容なので既に一定の経験がある方が買ってまで読む書籍ではないかと思います。
ただ、これから未経験でIT系の企業で勤務する方や新規事業を担当するにあたり広く法律について勉強したいという方であれば、記述も平易なので入門書的な使い方があるかもしれません。
Q&A インターネットの法的論点と実務対応 第3版 ―ネットトラブルからAI・仮想通貨・裁判手続のIT化まで―
- 作者: 東京弁護士会インターネット法律研究部
- 出版社/メーカー: ぎょうせい
- 発売日: 2019/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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