RKの備忘録

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【書庫】「第3版 予防・解決 職場のパワハラ セクハラ メンタルヘルス」(日本加除出版)第

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以前、内部通報窓口の担当者をやっていましたがパワハラ・セクハラの相談が寄せられることが結構ありました。

当時はパワハラ・セクハラの相談→調査→解決(処分・異動など)についてそれぞれのフェーズで頭を悩ませておりましたが、今後のことを考えて1冊読んでおくことにしました。

 

【書評】

パワハラ・セクハラ・メンタルヘルスについて雇用上の責任と防止措置義務・被害者への対応についてまとめた本書ですが、個人的には、パワハラ・セクハラの相談を受ける方は一度読んでおくべきものかと思いました。

本書の内容として

  • 厚生労働省人事院の報告書などから、具体的なパワハラ・セクハラ・マタハラの要件を引用しており定義が明確であるとともに具体的であること
  • 具体例として多くの裁判例を取り上げるとともに、ポイントとなった事実(対応)についてコメントを付しており初学者でも理解すべきポイントが明確であること
  • 必要に応じて書式などの引用もありビジュアル的に分かりやすいこと
  • 現代社会の課題(コミュニケーション不足・成果主義)により、ハラスメントが発生しているとして、ハラスメント対策が単に法令上の義務に基づくから取り組むものではなく、生産性や働きがい(働きやすさ)の改善につながり企業の成長につながることを明確にしていること
  • 第4章において、パワハラ・セクハラの相談を使用者(相談窓口の担当者)が受けた場合に取るべき対応について記載がされているが、対応完了までの目標となる期間(自社の窓口の場合で1ヶ月、外部の法律事務所が窓口の場合でも2カ月以内)が示されていること、相談→調査→解決の各フェースごと注意点が網羅されており、窓口の者が理解しておくべき対応手順について簡単に理解できること

が特徴としてあげられます。

 

セクハラ・パワハラ・マタハラについては、用語としては認知度が高いものの、その要件や定義については厚生労働省の報告書と裁判例の積み上げにより外縁を画してきました。

その意味では、報告書や裁判例を適宜取り上げており、かつ解決へ向けての手順の注意点を示している本書はこの分野ではスタンダードな入門書になり得るのかもしれません。