RKの備忘録

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【書庫】「Q&A現代型問題社員対策の手引き(第5版)~職場の悩ましい問題への対応指針を明示~」(民事法研究会)

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年末年始に懲戒処分の実務必携Q&A―トラブルを防ぐ有効・適正な処分指針─に加えて、「現代型問題社員対策の手引」の改訂版も出版されていましたので、こちらについても合わせて購入の上で拝読いたしました。

 

【書評】

どの会社でも共通して社員に問題が発生すると懲戒処分(解雇)をしたいという希望が生じるため懲戒処分の実務必携Q&A―トラブルを防ぐ有効・適正な処分指針─と同じようなテーマを取り扱っています。

ただ、本書では懲戒処分そのものに焦点を当てているわけではないので入社時(内定通知)から退職時までに発生しうるトラブルを過去の裁判例等をもとに類型化しています。

例えば

  • 内定承諾をした新卒学生が突然内定辞退の申し出をしてきた場合の対応
  • 副業を認めている場合における副業先での労働時間の把握をどのように行うか
  • 会社の支給する通勤手当とは異なる通勤経路(特に自転車など支給金額より低い場合)にはどのように取り扱うべきか
  • 会社主催の忘年会・新年会等の行事に参加しない社員を処分することができるのか
  • ITツールなどを導入した場合に、それを利用しようとしない従業員にどのように対応すべきか

など、どの会社にでもある悩ましい問題を取り上げています。

 

本書の構成とすると弁護士からのアドバイスが各Q&Aの最後に掲載されていますが、各問題行為が法律(労働法規を含みますが限られません)との関係でどのようにとらえることができるのかということに力点が置かれています。

そのため、「ズバリ回答」といった明快な回答がなされているわけではない(明快な回答しにくい事案が多い)という点は事前に理解しておく必要があります。

ただ、弁護士からのアドバイスを読めばある程度の方向性を理解することができるので、これであたりをつけてから顧問弁護士や法務部門に相談するといいかもしれません。

 

問題がある従業員について人事からの相談を聞いていると

  1. 会社のステージ(環境)が変わった場合に変化に対応できない者
  2. 過去にも同様のトラブルが発生していたものの放置してきた場合
  3. 会社のカルチャーに合わない者
  4. 感情的な問題

の4つに分類できますがどれも従業員のみならず会社側にも問題がある場合が多いです。

その限りにおいては、従業員の問題行為に遭遇した場合に放置することなく、都度指導して対応するという本書の記載をよく読んでほしいと思います。

Q&A現代型問題社員対策の手引〔第5版〕─職場の悩ましい問題への対応指針を明示─

Q&A現代型問題社員対策の手引〔第5版〕─職場の悩ましい問題への対応指針を明示─