RKの備忘録

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【書庫】「企業労働法実務相談」(編:西村あさひ法律事務所 商事法務)

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2019年4月に働き方改革法が施行されましたが

 

【書評】 

本書は、Q&A形式で最近話題になっている次の領域について横断的に解説しています。

社内で従業員に絡む相談は一定数あるものの通常は個別の分野で論述されています。

そのため、例えば職務発明について確認するときは、制度(特許法)、税務(所得税法)といったように複数のものを調べて回答する必要があるため本書のような境界領域を取り上げている書籍は貴重になります。

 

これまで全く知らなかった部分といえば

  • 職務発明制度において、特許を受ける権利を会社に帰属させることにより支払われる対価のうち譲渡時に支払われるもの(譲渡所得)、譲渡後に支払われるもの(雑所得)、通常の職務の範囲内の工夫(給与課税)といった風に分かれていること
  • 訴訟の和解の際の解決金について慰謝料相当額を超える部分についてはその性質に応じて源泉徴収する必要があること(バックペイの場合には給与課税)
  • ガーデンリーブと呼ばれる退職前に一定期間の自宅待機を求める条項が存在すること(英国系の外資
  • 出向先と従業員の情報を共有する場合にも第三者提供に該当するから、本人の同意が必要であり、かつ確認記録義務も履行する必要があること(マイナンバーについてはそれぞれが直接取得する必要がある)

など労働法だけ読んでいては気づきようもない部分が多々ありました。

また、懲戒解雇でも解雇予告手当が必要(解雇予告除外認定を受けない場合)であることや解雇する場合に忘れがちな解雇理由の通知について記載があるなど細かいところにも配慮されています。

 

結果的にですが日本を代表する西村あさひ法律事務所の弁護士が判例の分析や要件の解釈の論理を端的ながら明快に解説しているので、手元に置いておいて損をしない本になります。

企業労働法実務相談

企業労働法実務相談

  • 作者: 森倫洋,志村直子,藤田美樹,西村あさひ法律事務所
  • 出版社/メーカー: 商事法務
  • 発売日: 2019/03/13
  • メディア: 単行本
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