RKの備忘録

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【書庫】業務委託契約書作成のポイント(中央経済社)

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最近は購入した書籍を読む時間が取れずブログの更新も不定期です…

自らの勉強していることを記録として残す意味もあるので引き続きだらだらと継続しく予定です。

 

【書評】

業務委託契約書については業務委託(アウトソーシング)契約書の作成と審査の実務や新しいところだと業務委託契約の基本と書式といった書籍があり、そのほか契約書関連の書籍だと必ず扱われています。

その限りにおいては競合が多いため、あまり期待していなかったのですが、久しぶりに契約書関連の本としてはMustと思えた書籍になります。

 

本書は、シンプルに製造委託基本契約書と役務提供型契約(市場調査)に関するひな型の各条項を逐条解説していくものになります。

これだけであれば、よくある契約書に関する解説本というところですが、本書の特徴は各条項ごとに民法(改正部分については改正民法についても)の概念をどのように修正したのかということがわかるようになっています。

例えば

  • 解除において、法定解除の場合には相当な期間を定めた催告が必要なため、催告を行ってもそもそも履行を期待できない場合があるから、その場合に備えて無催告解除を約定解除として規定する。
  • 損害賠償について損害の概念を定義したうえで、規定を定めない場合でも民法の規定が適用されるが、その範囲について争いが生じないように又は上限額等を定めるために確認的又は創設的に規定を置く
  • 業務委託契約においてにおける善管注意義務は、委任(準委任)については確認的規定であるが、目的物の完成を行わせる請負においても目的物を完成させる範囲で善管注意義務と同等の義務を負担しているがその義務を負うことを明確にするのであれば規定する価値がある。

など、「条項を設ける意義」として解説されていることから民法の基本原則との関係がわかりやすくて良いと思います。

 

また、残存条項についていつもどの範囲で規定するのか迷うのですが、本書では①損害賠償②製品に関する保証③著作者人格権の不行使④権利義務の譲渡禁止⑤反社会的勢力の排除⑥合意管轄⑦秘密保持(個人情報保護)についてを指定してるため、この範囲で漏れないように気を付けたいと思います。

 

条項自体が細かい部分もあり、日常的なすべての契約書にこの粒度で対応するかどうかは別として、民法の基礎知識と契約書を紐づけられるという意味では大変良い本だと思います(法律家ではない法務部員にとっては難しいかもしれませんが…)。

業務委託契約書作成のポイント

業務委託契約書作成のポイント