今年の秋から冬にかけては仮想通貨やデジタル法務関連の書籍は複数出版されていますが、ポイント制度について解説されている書籍が珍しいので、こちらを購入しました。
【書庫】
バーチャルマネーと銘打ってはいますが、本書では電子マネー(前払式決済支払手段)・ポイント(共通ポイントを含むポイントプログラム)・仮想通貨について取り上げています。
その中心は、電子マネー(前払式決済支払手段)・ポイント(共通ポイントを含むポイントプログラム)となり、議論が進んでいない仮想通貨に関しては全体から見れば少しの記載しかありません。
本書の特徴としては
- 電子マネー・仮想通貨などについて法的性格(例えば電子マネーにおいては債権なのか価値権なのか)に関する議論を取り上げていること
- ポイント制度については平成20年・平成21年の経済産業省の検討会の内容を含めて、法的な整理を詳細に取り上げていること
があげられます。
ポイント制度(対価を得ることなく発行するポイント)については景品表示法の景品規制との関係が問題になりえる(総付景品規制の対象)ことは認識していましたが、ポイントを他のポイントと交換ができる場合には、交換された側のポイントについて資金決済法の対象となるか議論があるんですね。
この分野ではFintech法務ガイド〔第2版〕や実務解説 資金決済法〔第3版〕があるなかでポジショニングが難しいような印象はありますが、消費者契約法との関係や法的性格など類書にはない特徴もあります。
細かく引用がなされているので、この分野を取り扱うにあたって原典を探すには良いかもしれません。
バーチャルマネーの法務〔第2版〕─電子マネー・ポイント・仮想通貨を中心に─
- 作者: 北浜法律事務所,中森亘,籔内俊輔,谷口明史,堀野桂子
- 出版社/メーカー: 民事法研究会
- 発売日: 2018/10/31
- メディア: 単行本
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