コーポレートガバナンスコードが改訂され12月末が改訂後のコーポレートガバナンスコードへの対応の報告期限になります。
報告期限が近づき上場会社の担当者は四苦八苦していたはずですが、11月から12月にかけて複数の関連本が出版されたので購入してみました。
【書評】
コーポレートガバナンスコードは、プリンシパルベース・アプローチを採用しており、抽象的な基準について各社が本質を理解したうえで対応することを求めています。
本書はQ&A方式で記載されていますが、基本原則・原則・補充原則の各事項についてフォローアップ会議・パブリックコメントへの回答を踏まえて各原則の本質を解説しています。
特に参考になったこととしては
- 「取締役会」が名宛人になっている部分については、取締役会における議論が必要であり、そのための準備が必要であること
- 独立社外取締役を含む社外取締役の関与が大きくなり、名目上ではなく実質的に監督できるだけの体制を設ける必要があること
- CEOの選任や取締役の人選、報酬についても社外取締役の関与が求められることから会社法上の指名委員会等設置会社を選択しない場合でも、任意に指名・報酬諮問委員会の設置を迫られること
- コーポレートガバナンス報告書においてコーポレートガバナンスコードに関する開示が求められますが、報告書内にて開示が必要な項目と他の開示(公表)事項(例えば事業報告やWEBページ)で公表している内容を参照することで対応できるか示していること
があげられます。
コーポレートガバナンスコードを詳しく知らなくても前から読んでいくだけで、詳細を理解することができるため、本質を理解するには良い本かもしれません。
ただ、本書は事例が取り上げられているわけではないので別冊商事法務№427 コードに対応したコーポレート・ガバナンス報告書の記載事例の分析〔平成29年版〕やコーポレートガバナンス・コードの実践 改訂版あたりで具体的な対応をフォローする必要があります。
コーポレートガバナンスコードに関連して、取締役会の機能の強化が求められていますが、議案が増えても議論が活発になるわけではなくどこまで取締役会へ付議するのかというのは悩ましいところです。
本書では手続き上漏れがないということも重要なのでコーポレートガバナンスコードを踏まえた取締役会への付議事項一覧が含まれているのでこちらは大変役立ちました。