ゴールデンウィークの間も少しお出かけと読書の時間にしていました。
IoTなどで情報の利活用が求められる中、なかなか利活用に関して日本国内での議論が進んでいないように思えましたが「企業における個人情報・プライバシー情報の利活用と管理」と管理よりも利活用が先にかかれている点に興味をもって購入してみました。
【書評】
既にメジャーな個人情報に関する書籍が多数存在しています。どちらかというと個人情報保護法の解説がメインのものが多いです。
本書の特徴として、個人情報等の管理についても触れてはいますが「利活用」における課題について焦点を当てた意欲作になります。
本書の特徴として
- パーソナルデータに関して、個人情報保護法を所管している個人情報保護委員会のみならず総務省や経済産業省の取り組みについても随時触れることにより2018年1月ごろまでの最新の情報をアップデートしていること
- OECDにおける原則と現行の個人情報保護法の関係を示すなど、海外でのパーソナルデータに関する取組や日本法の裏側にある思想を学ぶことができること
- 個人情報保護委員会以外が公表しているガイドラインについても言及しており、パーソナルデータに関する規制について網羅的に対応していること
- 利活用においても、アプリケーション、インターネット広告やcookieの利用、ターゲティングなど既に行われている情報の取得・利活用について注意点と参照すべきガイドラインなどを利用形態ごとに整理されていること
- サービスの検討にあたりパーソナルデータの取得・管理・利用等に関する制度設計の方法(プライバシーバイデザイン、プライバシー影響評価、マルチステークホルダープロセス)についてあげられており、利活用に向けて具体的な検討方法が示されていること
- プライバシーマークのJIPTECが個人情報の利活用に関してアドバイス(外部専門家を含めて)を行っているらしく、対象事業者としては相談してみる価値があるかもしれないこと(知らなかったです…)
というあたりがあげられるかもしれません。
個人情報の利活用は個人情報保護法の改正により、匿名加工情報が新設され促進のではとも思われていましたが、意外と使われていない印象があります。
日本国内だと情報銀行などが議論されていますがまだまだ時間が必要そうな印象があります。
その中で、いかに利活用を考えていくかという視点での書籍は貴重なので読んでみても良いかもしれません。
企業における個人情報・プライバシー情報の利活用と管理―IoT、AI、位置情報、カメラ画像から従業員情報の管理まで
- 作者: 渡邊涼介
- 出版社/メーカー: 青林書院
- 発売日: 2018/05/01
- メディア: 単行本
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