RKの備忘録

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【書庫】公取委実務から考える独占禁止法(商事法務)

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 今年の目標としてこれまで避けてきた分野について勉強しようと考えています。

年末年始に特許法を一冊読んだことからこちらも避けてきた独占禁止法について評判の良い「公取委実務から考える独占禁止法」を読みました。

 

独占禁止法に関する業務を全く扱っていない立場とすると

  • 公正取引委員会からガイドラインが複数だされておりどれを読めばよいのかそもそも分からない。
  • 独占禁止法の条文自体はシンプルであるものの運用や解釈についてはガイドラインなどを読まざる得ない
  • 審決や判例・裁判例がおおいのでどこから手を付けていいのか良く分からない。
  • 談合やカルテルといった不当な取引制限が生じる業種業態ではない
  • 不公正な取引方法を検討するにしてもそもそも市場での弱者w

ということから手を付けてきませんでした。

 

拝見した公取委実務から考える独占禁止法の特徴として

  • 個別の学説を取り上げるのではなく、ガイドラインや裁判例等をベースに初学者がわかるように具体的な事例をもって説明している
  • 具体的事例が過去の裁判例や審決などをベースにしており有名な事例であり最低限の部分を押さえているようである
  • 各類型の説明において項目を条文の要件・効果に基づいて立てており、条文をベースに勉強することができる
  • 条文に該当した場合の効果や立証責任に言及するなど、当局との見解の相違が生じた場合の攻撃防御方向にも意識した内容となっている
  • 規制官庁である公正取引委員会の生の考え方に触れることができる

ということがあげられます。

 

 他方で、ガイドラインや運用に関する説明が中心のため、網羅性と理論的な説明については乏しいように感じます。

 そのため、実際に独占禁止法に関する実務を行うのであれば、独占禁止法に関して規制官庁である公正取引委員会の運用を含めた考え方を理解した上で、これを入門書(入門書といってもそれなりの難易度かも)に理論については別途勉強する必要があります。

 

 独占禁止法公正取引委員会が長年にわたって審査・執行してきたなかで「秘伝のたれ」的な要素を知るという意味では重要な意義があります。

 今後は、これをもとにさらに独占禁止法に関する理解を深めていきたいと思いました。

公取委実務から考える 独占禁止法

公取委実務から考える 独占禁止法