消費者庁の活発な是正命令などもあり、今年の春から景品表示法については各種雑誌で特集が組まれたり、書籍の改訂がなされたりしています。
春の時点は入門書としてエッセンス景品表示法を拝見しましたが、さらにお勧めしたい景品表示法の書籍が出版されました。
(書評)
法律の書籍だとどうしても条文がメインになることから、途中で投げ捨てたくなることもありますが、通読するという観点からは、読みやすく途中で挫折しにくい大変優秀な入門書(法務以外の方の場合には概説書)になります。
本書の特徴としては、
- 法務として景品表示法に関わっている者がメインターゲットではなく、広告実務に携わっている担当者向けであり、各種セミナーの内容をまとめたということからも分かりやすさが重視されている。
- 事業会社が思いつくような広告や景品について具体的な事例とともに触れていることから、担当者レベルで認識しておくべき最低限の項目が理解できる。
- 担当者向けと思って読んでいると、消費者庁の見解に関する解説や疑問点についても解説されているが、多くの書籍で消費者庁の見解についてどのように考えるのか書かれていることがないので新たな気付きになる。
ということがあげられます。
個人的には、
- 事業者向けの広告表示についても消費者の目につき事実誤認を引き起こすのであれば表示規制として問題となり、かつ公正取引委員会が所管していた時代に摘発された実績があること
- 景品規制については規制上、事業者向けであっても適用があること
- 景品の「取引の価格」について「通常行われる」取引のため通常提供しているサービスの価格をベースに考えるため、仮に最低単価があっても、多くの取引がその単価では取引がされていない場合には平均的な数字をもとに計算するなど比較的おおらかに計算されていること
- 全員に景品を提供する場合であっても、その単価が異なり(ほとんど差がない場合)、かつどれがもらえるか分からない場合には懸賞となる可能性があること(懸賞と総付の差が実は相対的であること)
については新たな気付きとともに、今後は日常業務においても注意しようと心に決めました。。
読みやすい本なので、これから景品表示法を勉強する人にまず1冊目として勧めてみようと思います。