RKの備忘録

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【書庫】「会社法務のチェックポイント」(弘文堂)

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弘文堂から新人若手弁護士向けに実務の技法シリーズというシリーズを始めました。

OJTが不足する若手弁護士向けとのことですが、一人法務や法務担当への教育制度のない会社もあるはずで、法務担当者が会社法について学ぶ機会が限られるので参考になればと購入して拝読してみました。

 

(書評)

各テーマについて実務でありえるCASEを設定し、新人弁護士と兄弁・姉弁との会話、チェックリスト、解説という構成になっており、チェックリストを潰していけば最低限の項目を抑えることが出来る形になっています。

 

解説も基礎的なことと実務的なことを短くまとめているので分かりやすいのですが

  • 取締役会の開催について議案を通知した場合に、別の議案を追加する場合には不意打ちになるので取締役会の構成員の同意を取得するのが実務的には好ましい(コーポレートガバナンスコードの要請からすれば社外取締役・社外監査役がいると事前に議案を説明が必要です。)
  • 代表取締役の解任の取締役会に弁護士を同席させるなど適法に決議が実施できたことを担保する方法を取るべき(弁護士の同席を議長に求めた時点で荒れるんじゃないかと…またコーポレートガバナンスコードから指名委員会の評価を前提とせずに解任するのはガバナンスの無効化につながりそう)

というように会社法のみのアドバイスとしては分かるんだけど、コーポレートガバナンスコードなど実際の実務とは少し対応が異なるんじゃないかと思う部分もありました。

 

内容的には、分かりやすいので会社法について網羅的に勉強又は復習するのであればこの一冊で十分足りるのではないでしょうか。

 

事例を見ていると経営者じゃない第三者が株式を保有している前提ですが、ベンチャー企業で将来株式公開をする前提がないのであれば、弁護士は株式を第三者に割当てることを将来の紛争を防ぐために止めるのが先なんじゃないかと

投資側で仕事をしていると株主間契約を締結することもありますが、株主間契約は株主がちゃんとしてる(VCや投資に慣れている企業・個人)から機能するんであって普通の個人間で締結しても揉めることはもめます。

 

途中で、新人弁護士と兄弁・姉弁との会話が社内で私と部下のコミュニケーションに似てるというのが気になって仕方がなかったのですが誰かに見られていたのでしょうか(笑)

会社法務のチェックポイント (実務の技法シリーズ1)

会社法務のチェックポイント (実務の技法シリーズ1)