銀行法が改正されたり、仮想通貨の流出など何かと話題を集めるFintech領域全般について法律分野別ではなく提供するサービス単位で解説する「Fintech法務ガイド」の改訂版が出版されましたので購入しました。
本書は、初版から1年半で改訂版が出版されており、当該分野の議論や立法が短い期間で進んでいることを感じます。
【書評】
本書は、法律単位ではなくサービス単位で章立てを構成しており
具体的には
1 決済
①ITと連携した決済サービスの提供
②スマートフォン決済
③多様な送金サービス
④ポイントサービス
2 融資・投資
①トランザクションレンディング
②ローンの取次
⑤ロボアドバイザー
⑥おつり投資・貯蓄
3 保険
4 仮想通貨
5 電子決済等代行事業者
といった分類(そのほかに電子債権やデータ利用なども別立てで記載)されています。
そのため、通読するのではなく、検討するサービス単位で調べることができるため事業企画から相談があったときの一時的な調査において役立ちます。
また、Fintech領域は、立法以前に各種審議会や検討会での議論が中心となっています。
そのため、検討会等における検討状況をフォローしておく必要がありますが、過去のものについては議論経過、現在議題に上っているのはその旨を掲載しており、必要に応じて検討会の資料等までさかのぼることができるため「ガイド」として十分な役割を果たしているように感じます。
ただ、分野が広いだけに一つ一つのQ&Aおいては概要や手続きにしか触れていない部分も多く、その部分については類書で補う必要があります。
本書のFintech全般における「ガイド」という位置づけからは仕方がない部分でもありますが、もう少し踏み込んだ部分があっても良いのかもしれません。
少数の法務担当者で業務を行っていたり、予算の少ない部門で下調べをするには十分な分量ですので改訂ペースが速いですが購入する価値はあるかと思います。