RKの備忘録

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【書庫】過重労働防止の基本と実務(中央経済社)

電通での女性従業員の自殺以降、長時間労働に対しては世の中で厳しい視線が向けられているほか、来年4月には改正労働基準法か施行され労働時間に法定の上限が設定されることになります。

労働時間規制とはいっても法律ごとに少しづつ概念が異なることから意外と正確に理解しにくいのです。ただ、来年からの対応を考えるにはそろそろ理解しておかないとだめなのでこちらの書籍を購入していました。

 

【書評】

過重労働の未然防止・発生後の対応の実務について解説した本書は、労働法の専門家向けではなく、人事労務の担当者に理解できるように平易な文章で記載されています。

本書を拝見して

  • 法改正が広範な領域にわたりましたが、過重労働防止のための労働基準法の制度(労働時間の上限規制)、労働安全衛生法の制度(健康診断、産業医面談)を取り上げており、法改正のうち罰則を伴うポイントを理解することができる
  • 割増賃金を計算する場合の労働時間と労働安全衛生法に定める健康時間外労働時間の区別、具体的には

   ①労働基準法

    1週40時間、1日8時間以上の労働及び所定休日の労働

   ②労働安全衛生法

    1か月の総労働時間(法定休日労働含む)-(当該月の総暦日/7日)×40

   という差があります。また、労働時間の算定に関しては補講として詳細な解説がなされています。そのため、法律・制度ごとの労働時間(残業時間)の差について認識することが可能になります。

  • 企業が最も注意している企業名公表に関する公表基準に関する考え方も記載されています(同一事業所の同一労働者について複数の事象があっても1カウント扱い など)
  • 過労死等が発生した場合の遺族等との交渉のポイントとその傾向について理解することが可能
  • うつ病などの精神疾患による求職の場合には、必ず会社側が主治医と面談を行い診断が簡単ではないことなどを言わせることで、休職期限の終わりに出てくることが多い復職可の診断書に関する牽制になること

という部分が新たな気づきになりました。

 

働き方改革関連で、多数の書籍が出版されていますが、企業側で労働問題に取り組まれてきた弁護士が担当者に分かりやすく解説しており、内容的な信用度も高いです。

本文以外にフォントを小さくしていますが、実務上の対応について読んでみると筆者の経験部分を記載しているため経験のあまりない担当者にとっては大いに参考になります。

過重労働防止の基本と実務

過重労働防止の基本と実務