RKの備忘録

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【書庫】「営業秘密管理入門テキスト」(商事法務)

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平成30年の通常国会不正競争防止法の改正案が提出されています。

有斐閣から出版されている「不正競争防止法」は概略を知るのに読んだことがありますが、経済産業省から営業秘密の管理については「営業秘密管理指針」「秘密情報の保護ハンドブック」を眺めてことがあるだけなので、情報管理体制の構築の参考にと「営業秘密管理入門テキスト」を読んでみました。

 

 【書評】

「営業秘密」の管理に関する不正競争防止法の解説ではなく、営業秘密の管理体制を構築していく「過程」に焦点を当ててストーリー立てて解説しています。

 ストーリーとして

  1. 中小企業の製造メーカーが情報管理体制をゼロから構築する
  2. 小規模なシステム開発会社が情報管理体制をゼロから構築又は既にあるものを見直しを行う
  3. 既に情報管理体制を構築した大企業(製造業)が情報管理体制に関して見直しをする
  4. 海外展開を行っている大企業が海外での情報管理体制を構築(見直し)をおこなう

 という4本立てになります。

 企業の法務部門の団体である経営法友会の会員が構想しただけありストーリーそのものがリアリティが高く、他部門からの意見などあるあるなネタも盛り込まれています。

 拝読させていただく中で大変興味深かったののは

  • 営業秘密の管理が不十分というのが前提ではあるものの、情報漏洩(持ち出し)においては個人のネガティブな感情(妬みや恨み)の影響が大きい(外部からの攻撃ではなく内部の人の管理の問題がほとんど)
  • 中小企業では、コストが生じることからも経営者が情報管理対策に取り組むことへコミットすることが必要(形ではなく実を整える)
  • 情報管理と業務効率は実は両立するので、管理のための管理ではなく業務用途に合った管理の見直しを行っていく必要がある(管理レベルの再設定を行う)

 というあたりでしょうか。

 「営業秘密管理指針」「秘密情報の保護ハンドブック」の主要なところも触れているので一冊で「営業秘密」の管理について学ぶ事が可能です。

 「入門テキスト」とは銘打っていますが内容的には入門から中級までという印象を受けました。

 情報管理体制の構築については、分かってはいるものの後回しという感じになりがちなので、これを機に見直しをしてみたいと思いました。

営業秘密管理入門テキスト

営業秘密管理入門テキスト