表示に関する消費者庁の措置命令が活発に行われている中で、昨年夏に出された打消し表示の実態に関する調査報告書に消費者庁の担当部署の解説を加えたものが出版されましたので購入しました。
【書評】
まず、注意しておきたいことが本書の大部分は消費者庁が公表している調査報告書及びその参考資料をまとめたものであるということです。
調査報告書自体は無料で公表されているため、本書の大部分を占める調査報告書のみを読みたいという場合には購入する必要はありません。
ただし、一部で調査報告を踏まえて景品表示法に関する考え方が示されており
- 具体的な強調表示ごとに事業者のとるべき方法が掲載されている
- 体験談などについて単に「個人の感想」という打消し表示では不十分であり、体験談がどれぐらいの人に生じるものなのかを明示することが必要(統計上優位性がない場合には体験談そのものがNG)
- 消費者が分かるような打消し表示を行う(専門用語などは避ける)
など表示を考えるうえで参考になる部分もあります。
ただ、この調査報告書をもとに考えると真面目な事業者が遵守して、悪質な事業者が無視をして強調表示を行うといった悪循環が生じそうな気がしました…
消費者が誤解を招かないような表示をすることが必要なことは十分承知していますが、もともと広告自体が特定の商品(役務)を良く見せるために行うものなので紙一重なところがあります。
そのため、健全な事業者が委縮するような過剰な規制にならないことを祈るばかりです。