自社の広告に関する相談が増えてきた中で表示に関する書籍を探していたところ偶然見つけました。
広告代理店最大手の電通の法務マネジメント局が広告を実施するにあたり広告制作会社・広告主・媒体社のそれぞれの注意点という視点で広告に関する規制をまとめています。
特徴としては
①広告代理店の法務部門としての経験から適法違法に関する判断のみならず、レピュテーションリスクやトラブル(クレーム)になりがちな部分についての対応について取り上げている
②どの立場の人が気をつけるべきなのかを「広告主の立場で」など明記して分かりやすくしている
③イベントやスポーツなど法律単位ではなく広告手法ベースでの解説の取り組みがある。
というのがあります。
他方で
①分野ごとに濃淡がある。例えば著作権は分量を多く割いているものの商標は10ページ程度だったりします。
②判断が難しい論点については、記述の最後にクレームのおそれがあるから要注意と記載するなど立場を明確にしていない(会社の名前が出ていることからやむを得ないかもしれません。)
③個別法に関しては基本事項を最小限にしているため指針やガイドラインの説明(掲載)となっている部分がみられる。
④最近メジャーなインターネット関連やクラウド関連については、行政機関が出しているものを膨らませただけで独自の取組に関する記述がない
というのが一応のマイナス点です。
個別の法律に関する記述が薄いとはいえ広告関連の実務についてはまとまった本がないので、最大手の代理店の取組がわかるという意味では価値がある本です。
(個別法も取締法規のため行政解釈がメインだったりしてます)
広告関連の法務知識のあまりない方や現場の責任者が読むという意味では十分ですし、又は手法からあたりをつけるという意味ではこれで調べてからさらにという使い方もできそうです。
虎の子なので難しいかもしれませんがこういう各企業が保有する知見を外に公表するというタイプの書籍が増えるといいなぁと思いました。